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最適なマンション管理実現の目指して活動中です! 

大学でマンション管理組合の財政について講義

投稿日:2019年07月09日

マンション管理士としての活動は専ら管理組合と区分所有者が対象ですが、7月5日縁あって大学で講義を行いました。「財政、税制ゼミ」では「マンション管理組合の財政」と題して、現在の管理組合の会計の特徴、管理に関する諸問題点など学生とともに双方向で実態の共有と解決のための方策をディスカッションしました。今の学生たちは、管理組合にはほぼ無縁ですが、将来、マンションを所有することになった時、否応なく管理組合に関わることになります。そうなった前提で、マンションの問題を共有しました。教材としては中学校社会科公民の教科書の中の「住みよいマンションにしていこう」という単元があり、多数の居住者が住むマンションの絵から問題点を探し、それらを共有しました。また実際の管理組合会計に関しては、赤字に苦悩する管理組合(理事会)の収支計算書から、赤字解消のためにどのように解決に導けばよいかなど、高度な課題まで共有するよい機会になりました。

大学で学生たちに向き合い、お話しするのは初めてでしたが、課題に真剣に参加してくれて、彼らの意欲を感じました。将来、今回のゼミのように、積極的に管理組合を担ってくれるだろうと頼もしく感じました。

 

★同じ日の別の講義で専門科目「財政学」があり、その中では、サラリーマンの税金についてのとらえ方を元サラリーマンとして独立の経験を交えながら講演しました。マンション管理組合とは全く異なるテーマでしたが、「老後2000万円不足」問題など世間で注目を浴びている事柄についても、年金と自助のあり方などについてお話し、学生たちにも関心をもってもらえたように思います。

台東区マンション管理セミナーで講演

投稿日:2019年07月01日

6月30日台東区住宅課主催のマンション管理セミナーで「総確認!管理組合の役割~自分の資産を守るために~」と題して講演を行いました。管理組合が主体的に理事会活動するためには、何をすればよいのか。毎月の理事会では、年間では、どのように進めていけばよいのかなど、仕事がら年間300回以上出席する総会や理事会活動から得られたノウハウを紹介しました。

初めて理事になる方に理事会をイメージしていただくこともさることながら、これまで理事を務めている方々にとっても、自分の管理組合以外の理事会運営を目にすることは多くはありません。でもせっかく管理組合活動するのであれば、いいとこ取りして、充実した管理組合活動ができるよう具体例を交えて管理組合主体の活動を提案させていただきました。理事さんの中には理事会運営は管理会社が主導でよいのでは、と思われる方もいるかと思いますが、管理組合と管理会社は利益相反関係にあることを忘れずに、べったり依存するのではなく、管理組合が主体的に活動されることが重要です。講演の中で、また終了後にたくさんの質問をいただきましたが、参加された管理組合のこれからの活動を期待したいと思います。

セミナー案内⇒ http://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/jutaku/bunjo/sesaku.html

地域マネジメント学会主催 公開シンポジウムでの主張

投稿日:2019年07月01日

住宅宿泊事業法施行から1年、民泊の現状と展望と題してのシンポジュウムにオブザーバーとしてパネルディスカッションへ参加しました。昨年の公開シンポジウムでも民泊がテーマでしたが、昨年とはやや様相が異なりました。昨年は施行直後で管理組合の関心も高く、また違法民泊も多数残る混乱の中でした。会場には管理組合関係の方も多数来られていました。あれから1年が経過し、表立った違法民泊は少なくなったものの、未だにマンション内を出歩く違法民泊の旅行者が存在しています。

こうした環境の中での、今回のシンポジウムの内容ですが、違法民泊や居住者視点からの発言は私くらいで、民泊推進の流れを強く感じさせられました。私自身、民泊に真っ向から反対ということではなく、「マンション居住者に不安がない」形の民泊であれば、賛成です。この観点から、分譲マンションでの民泊はトラブルの少ない家主同居(居住)型に限定する制度も一考であること。そのためには家主居住型と、家主不在型を区別するべきではないとする国のガイドラインの改定も必要であることを発言しました。

その一方で、家主不在型であっても、管理員(又はコンシェルジュ)が常駐するなど、しっかり管理でき、居住者に不安がない形であれば、そこに分譲マンションでも共存できる民泊があると私の主張を発言させていただきました。

★「居住者に不安がない民泊」の考え方については、今後も様々な機会を通して発信していきたいと思います。

沖縄管理不全マンション報告

投稿日:2019年06月14日

2009年にバルコニーが崩落し、問題になったマンションがあった。新聞でも報道され、話題になったところを訪ねた。崩落から10年、そのまま放置されていたが、今年3月になってようやく解体工事に着手し、今月工事が終わり、解体が実現した。ここの場合、所有者の連絡が取れたことから、所有者により解体になったものだが、管理組合がなく、区分所有者への連絡に時間がかかったというものだが、それにしても解決までの長い道のりであったと感じさせられた。まずはよかったと、言うことになるのだが、問題はこれで終わりではなかった。解体されたマンションを含め4棟がほぼ同時期に建築され、残された3棟が、崩落したA棟に劣らないほどの相当な管理不全状態であったからだ。バルコニーに手摺がない状態、バルコニーの崩落を防ぐためのブロック塀で先端部分を支えた状態、腰壁が崩落した屋外階段、外壁の剥落、降雨時の共用廊下1階部分への激しい漏水など、普通のマンションでは考えられないことばかりだ。こうした状況でありながら、今も居住者がいることに驚かされる。A棟バルコニーの崩落の直接の要因は沖縄海洋博の建設ラッシュの時代に、塩分を含んだ海砂が使用された施工不良ということは事実だが、全く同じ環境にある他の棟でも、早く対応をとらないと、たいへんな事故が起きないとも限らない。ここに居住する方に話を聞くと、怖いと感じないともいう。慣れっこになっていると恐怖感がなくなるということも異常な事態だ。一日も早い対応が望まれる。

■写真左:解体されたA棟跡地。左の建物はバルコニー手摺がない状態のB棟/写真右:外階段の腰壁が崩落した状態のB棟

 

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2019年3月5日最高裁判決に思う

投稿日:2019年03月05日

3月5日、最高裁判所で一つの判決があった。

電力一括受電を特別決議した管理組合での事件。管理組合で電力一括受電するためには、全員が電力会社との契約を一旦解約しなければならない。しかし、この決議に反対する2名の組合員が既存の電力会社との契約の解約を拒み、一括受電ができない状態になった。これに対して、管理組合の専門委員の一人が反対する2名の組合員に対して、一括受電がなされたならば得られるはずの差額分の損害を受けるとして、不法行為に基づく損害賠償請求を起こした。この損害額は9千円。一審、二審ともに原告(修繕委員)が勝ち、損害賠償が認められた。これを不服として2名の組合員が最高裁に上告していたもの。

今日の最高裁の判決では、一審、二審判決を破棄し、損害賠償は棄却され判決が確定した。その理由は管理規約で電力契約の解約を強制することはできない。なぜならば本件は区分所有法の「区分所有者間相互の事項」には当たらず、区分所有者に解約の義務はなく、解約は強制できないというもの。

この訴訟は管理組合が訴えたのではなく、一区分所有者が訴えたもの。もっともと言えばもっともという気もするが、規約を盾に管理組合が物事を強引に進めることはできないということでもあろう。「一括受電」自体、電力自由化の流れの中で過去のものになろうとしているが、管理組合内で賛否が分かれ争いになることはどこでもあり得る。その際に一時の感情論で、反対意見を押し切ったとしても、訴訟になった場合に必ずしも押し切れないということだろう。

今回の事件を通して合意形成の大切さを改めて考えさせられた。今回は原告が区分所有者であったが、これが管理組合であったらどういう結果になったのだろう…。

国土交通省「平成29年度マンション管理適正化・推進事業」の成果として公表

投稿日:2018年12月25日

国土交通省マンション政策室から平成29年度の「マンション適正化・再生推進事業」の成果事例(11例)の一つとして、台東区での違法民泊の排除と、管理組合としての民泊対応に取り組んできた成果が公開されています。違法民泊の排除のための方法、民泊禁止の4か国語ステッカー、民泊禁止に関連した細則案などを管理組合の立場から提案しました。また管理規約については、現在の標準管理規約(本文)で規定された「住宅宿泊事業法のみを禁止」する条項ではなく、住宅宿泊事業法上限の180日を越える場合に1日単位で行われる可能性があるウィークリーやマンスリーマンションにおいても、短期で不特定の者への貸し出し禁止が明確となる民泊禁止規約案としました。さらに民泊に関して知識があまりない管理組合でも民泊に適正な対応ができるようにマニュアルとしてまとめたものも公開されていますので、管理組合運営の参考にしてください。なお、公開された平成29年度の成果では、住宅宿泊事業法施行前段階であり、施行後の現在と状況が異なる点もありますのでご注意ください。住宅宿泊事業法施行後の対応については、平成30年度の同事業で取り組みしていますので、公開された際はお知らせいたします。

 

国土交通省ホームページより http://www.mlit.go.jp/common/001257825.pdf

 

 

ねりま防災カレッジで講演

投稿日:2018年11月22日

CIMG10302018年10月12日、16日、20日の3日程で練馬区民を対象にした防災講習会「ねりま防災カレッジ」で「過去の災害の教訓に学ぶ学ぶマンション防災」と題して講演を行いました。2年半前の熊本地震、今年6月の大阪北部地震、9月の北海道地震とそれぞれの災害から得られる教訓は多々あります。熊本地震では、給水設備の脆弱性と日頃からの対策のシミュレーションの必要性を、大阪北部地震ではエレベータへの閉じ込め対策を、北海道地震では停電に伴う断水やエレベータ停止などマンションへの様々な影響を最小限に抑えるための対応など実戦的ノウハウを紹介しました。加えて、排水管設備が損傷した場合のための排水禁止ルールの解除方法については、これまで広く紹介されることがなかっただけに、大きな反響がありました。あれもこれもと一度に対応するのは難しくても、できるところから一つづつ、対策することで災害時に大きな効果を発揮します。

★過去の災害の教訓をもって、災害の準備するのは、次はあなたの管理組合の番です!

うらやす市民大学で講演

投稿日:2018年07月02日

浦安市が地域で活躍する協働の担い手育成を目的に開校した『うらやす市民大学』の「マンションの今後を考える」講座で7月2日講義を行いました。今回の講座は『住宅宿泊事業法でマンションはどう変わるか』と題して、先月6月15日から施行された現状の問題点とマンション管理組合での対応についてお話しました。受講生の方々の意識は高く、既にそれぞれの管理規約は民泊禁止に改正されていることから、規約で禁止した後の管理組合対応、特に法律施行後も残る、ヤミ民泊にどのように立ち向かっていくのか、どのように追い出していくのかなども含めて具体的なお話をしました。また民泊は住宅宿泊事業法によるものだけでなく、旅館業法によるものもあります。規制緩和、旅館業法改正により、フロント設置義務がなくなって、マンションの一室でも民泊が入り込む懸念があること、管理組合としては油断ならないことなどを共有しました。また管理が行きとどき、トラブルの恐れが少ない家主同居(居住)型民泊を活用した積極的な活用策についても共有し、90分の講義を締めくくりました。

★うらやす市民大学での講座は一昨年以来の2回目でした。浦安と言う立地は、東京に限りなく近く、東京ディズニーランドを地元に控え、成田・羽田空港へのアクセスにも便利な特性があり、民泊問題を考えるうえで格好の地域です。短い時間でしたが、受講の皆さんの意識の高さを感じました。

地域マネジメント学会 公開シンポジウムへパネリストとして参加(6月29日)

投稿日:2018年06月29日

地域マネジメント学会主催の公開シンポジウムが6月29日明治大学にて開催されました。ここでのテーマは「民泊について考える」。住宅宿泊事業を主管する観光庁観光産業課鈴木貴典課長の基調講演に続き、不動産経済研究所の高橋幸男代表、大田区生活衛生課三井英司課長、それに私は管理組合の立場で活動する管理組合目線で民泊をウォッチするマンション管理士としてパネルディスカッションに参加しました。鈴木課長は住宅宿泊事業法施行になった現状を制度の観点から、高橋代表は不動産業界の立場から、三井課長は東京で唯一特区民泊を実施する区として特区民泊の現状について講演いただきました。私は違法民泊の実態と違法サイト特定方法など管理組合での取り組みから得られた事例などを紹介。実際に違法民泊が見られた場合の管理組合として保健所や警察との連携による解決方法などを紹介しました。また行政への提言として180日制限や上乗せ条例批判の動きが即、安易な緩和にならないよう慎重な対応が必要であること、トラブルの多い家主不在型民泊とトラブルが少ない家主同居(居住型)を別の制度として扱う考え方を加えました。さらに管理組合においては、規約改正で民泊禁止後も日常管理の中で違法民泊を監視する体制が必要であること。また一律に民泊禁止とするのではなく、トラブルが少ない家主同居(居住)型を容認する方法もあり得ることなど施行後の課題や考え方を紹介しました。

パネルディスカッションでは、施行後も仲介サイトに掲載され続けた違法民泊はじめ、違法ウィークリーマンション、違法マンスリーマンションへの対応、違法サイトへの規制や定期借家契約による民泊逃れの手口などに関する観光庁の見解を直接質問し、それぞれ違法な状態を解消するために取り組みする旨の回答を得ました。会場からは空き家活用など民泊の活用に関して、管理組合としての積極的な対応ができないかとの質問があり、家主同居型で、管理が問題なくできる条件が揃えば、コンシェルジュによる鍵の授受や館内での禁止事項や利用説明、その他トラブル発生時の対応まで管理組合として積極的に民泊に関わることは可能であることをお話しました。また外国人が来訪することへの心理的な不安は外国人の差別になるのではないか、との質問には、家主がエントランスまで出迎えし、ともにセキュリティを通過するなど対応するならば、現在の不審感とは全然違うものになるなど工夫の余地があることを答えさせていただきました。

★施行後間もないタイミングのまだまだ課題が山積する中で、今回の公開シンポジウムは民泊問題を考えるうえで、よい機会になったものと感じています。地域マネジメント協会の会長によれば来年度の公開シンポジウムも民泊を取り上げることになったそうで、この1年間の動向を注視していく必要性を感じています。CIMG0326

 

大阪北部地震レポート(2018年6月19日)

投稿日:2018年06月19日

◆はじめに

2018年6月18日午前7:58大阪北部地域を襲った「大阪北部地震」についてマンション防災の観点からレポートする。同じ「直下型地震」ということで2年前の熊本地震と比較しながら、マンション防災への気づきを記していきたい。

◆発災翌日の現地調査

地震の翌日10:15新幹線でほぼ定刻に京都到着。ここから在来線でほぼ震源の高槻市に向かう。線路にゆがみがあるという情報から、出発が大幅に遅れ、飛び乗った普通列車は途中西大路、長岡京などで延々停車を繰り返し、高槻市到着は乗車1時間後になっていた。結構長く感じた。高槻下車後、まずコンビニに入る。駅のセブンイレブンには入荷があった直後で、ちょうど、がらんとしていた食品、総菜コーナーにスタッフが商品を置くそばから、次々に売れていった。昨日は完売だったというが、それでも翌日(発災24時間後)に店頭に食品や水が並ぶ点は、やはり災害が限定的であったというラッキーなことが挙げられると思う。しかし、災害が限定的か否かは、自然が勝手に決めるものであり、人間が入り込む余地はない。単にラ結果がラッキーであっただけのことだ。駅前の複合ビルの書店の店員によれば昨日は本が散乱するなど、全館臨時休館したという。とは言え、この時間帯の商店街も、駅前の松坂屋も発災翌日から平常通り営業しており、熊本地震で地元鶴屋百貨店が2週間たっても営業できなかった事実とは比べようもない。

歩いて高槻市役所へ向かう。市役所はちょうど耐震補強工事のさなかでメッシュシートに覆われていた。災害対策本部となる庁舎が地震の影響を受けることなく無事であったこともラッキーだ。ただ、驚いたことは、ごった返していると思った市役所は午前中閉庁し、閑散としていたことだ。かろうじてブルーシートを配給する係だけは受付するものの、ほかに訪れる人はいない。玄関扉が無情にも施錠されているからだ。庁舎に罹災証明を求めて長蛇の列ができ、避難所として開放した野戦病院の様相を呈していた熊本市役所(発災後2週間目)とは対照的な静けさである。国土交通省近畿地方整備局の職員が応援に駆け付けているところであった。

タクシーが市役所前ではつかまらず、阪急の駅方向に歩いていく。市役所の横ではガス管の復旧工事が行われていた。現在のシステムでは遠隔でガスの供給を遮断することができ、大規模な2次被害が発生しないように改善されているが、ガス漏れの箇所の点検とその復旧には相当の時間がかかる。熊本地震では全国から応援を得ても2週間を要した。今回はこうした他地区からの協力も得て、前倒しした1週間で復旧させると力の入れようがちがうが、それにしても1週間の不便は大きい。現地では多くの店は営業していたが、カセットボンベをレジ袋に入れて持ち歩く人の姿が印象的であった。買うことができるうちはまだよいが、殺到して買えなかったらどうなるのか。ガスコンロの確保、これも日頃からの備蓄の課題であることは明白だ。また水道が開通しているところでも濁った水が出るなど飲料水として使用できないことから近隣の飲食店が軒並み閉店しているところは、平常に見える町中においても、地震直後の緊迫感を思わせる。そんな中で呼び込みをしている店があった「本まぐろ直売」を看板に掲げ、マグロ丼とネギトロ丼を提供する弁当屋兼簡易食堂に呼び寄せられた。電気炊飯器でご飯を炊き、ポットで味噌汁を提供する、営業に対する前向きな姿勢を実感した。これはアクションだけでなく、味の方も満足の650円には心が和んだ。発災当日も15時まで営業したというからスゴイ。店主は北部のマンション6階に居住し、揺れは相当なものだったと恐怖を語ってくれた。室内に散乱する食器や雑貨の類の写真、エクスパンションジョイント部分の損傷の写真を見せられた。そもそもエクスパンションジョイントは建物と建物が干渉し、損傷しないように壊れることはその役目であることを伝えると、安心された。地震の正しい知識をお持ちでない方は、どうしても建物の損傷する場面を目の当たりにすると不安になる。熊本でも正しい情報と、正しい知識を伝え、無用な恐怖を抱かせないことが居住者への精神的フォローであることを再認識した。

◆マンションでの被災の実態

飛び込みで入ったマンションの管理員によれば現在、水道は開通し、ガスが使えないことを除けば平常という。昨日は発災時には出勤しており、終日対応にあったとのこと。東日本大震災時は多くの管理組合で管理員が活躍したが、今回もそうなったようだ。エクスパンションジョイントの状況は本日、この後に施工会社が現地確認に来るとのことであった。阪急高槻市駅からタクシーを確保し、車中から眺めるも、損傷が激しい建物が驚くほどない。熊本の町の瓦の崩壊と屋根を覆うブルーシート群とは違い、ブルーシートで覆われた家屋は数えるばかりだ。ましてRC造での損傷を見つけることは容易ではなかった。明らかに旧耐震のピロティ方式と思われる建物でも、倒壊は発生していない。

その後、エクスパンションジョイントの損傷があるマンションを訪問した。ちょうどフロントマンがマンションに立ち寄り、現場確認するところであり、これに立会いさせてもらった。10階建てのマンションで高層階になるほどエクスパンションジョイントがめくれ上がり、揺れの激しさを物語っている。さすがにそこまでで、躯体は傷んでいないことから、エクスパンションジョイントが立派に役割を果たしたということがわかる。2か所ある繋ぎ目部分のうちの集会室につながる部分のカバーが外れていることが判明した。居住者に直撃することがなくて本当によかったが、エクスパンションジョイントのカバーについては、日ごろから発災時の落下があることを居住者に啓発していくことの重要性を改めて感じる。自分のマンションにはどのような構造があり、災害時にどのような事態が発生するかを知っておくことができるならば、マンション防災にはとても有効であり、できる限り啓発していきたい。ちょうどエレベータ保守会社の作業員が復旧のために作業をするところであった。閉じ込めがなかったのは幸いなのだが、閉じ込めがなかったゆえ、発災後29時間後に、ようやく復旧となった点は考えさせられる。今回のように災害が限定的でありながら、これだけの不便がかかるということ、広域的な大規模災害であればもっと長い期間エレベータが使用できなくなることを想定し、その間、階段での荷物の持ち上げのような重労働がないように、日ごろから各住戸での食料・飲料水の備蓄の必要性を強く感じた。また外壁タイルの剥落が2か所で発生していることが判明した。コーンを置いて立ち入り禁止にすることをフロントから管理員に指示があった。住民からは住戸前の雑壁(腰壁)や専有部分内部の躯体へのクラックについての質問が入っていた。共用部分にあたることから、後日アンケートで状況を把握し、対応するのがよいだろう。

◆水道について

このマンションでは増圧直結方式であり、停電又は水道管損傷がない限り給水が止まることはない。しかしながら、一般的な文章「今後断水する可能性がある」と記載された案内では、不安を煽る可能性があるため、増圧直結タイプおける完全な断水は、水道管の損傷い限ること、停電時であれば、低層階での給水は可能であるなど、そのマンションにあっ案内が望ましい。なかなかここまでの対応はむずかしいものの、防災マニュアルの中で、明記することで居住者の対応や意識も変わってくるものと思う。

◆災害ゴミついて

今回訪れたマンションでは、目立って災害ゴミをみることはなかった。もっともそれは共用部分になかっただけであり、専有部分に相当のごみ(予備軍)が散乱しているはずである。環境省が発災当日、13時の時点で大量の災害廃棄物が発生する恐れから、5府県に仮置き場確保の要請が出されている。昨日の今日のことであり、この問題はまだこの後にクローズアップされてくるものと思われる。熊本のような地方都市ではなく、大都市の過密した敷地内での災害ゴミの置場は課題である。

◆おわりに

古くからの銭湯の煙突がぽっきりと折れている映像がニュースで流されインパクトがあった。経過年数を経ていることから、ある意味で仕方がないことのように感じる。今まで何ごともなく、よく持ちこたえてきたものともいえる。その一方で、ブロック塀の倒壊で痛ましい事故が発生したものの、今回建物の倒壊はなかった。ピロティ形式の耐震性に脆弱な建物も多数あったにも関わらず、これらの損壊は免れた。それは地震のエネルギーが熊本地震ほど大きくなかったことや、専門的に言うと地震の周期が0.5秒以下と短い周期であったこと、これらが偶然の結果としてマンションなど建物の大きな事故がなかったということに過ぎない。それ自体がラッキーなことであり、それを奇貨として来るべき大規模災害に対応しなければならないと改め感じた。

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