投稿日:2016年02月27日
昨今話題になっている「民泊」。これは自宅の一部やマンションの空き室などを活用して宿泊サービスを提供するビジネスモデルを言います。海外からの渡航者の増加で、ホテル不足が顕著になる中で、行政としても、現状に対応するため、現在旅館業法の改正が検討されていますが、管理組合にとって「民泊」は、一歩間違えると平穏な居住環境を乱すことになりかねない諸刃の剣でもあります。こうした「民泊」に管理組合としてどのように対応すればよいか、管理組合が民泊を制限する場合、また容認する場合の両面から管理規約と細則案を作成し、2月25日に開催されたマンションコミュニティ研究会の勉強会で発表いたしました。
会場を埋め尽くした管理組合役員、管理会社、マンション管理士ほかマスコミ関係者などに、民泊の実態を説明し、共有するとともに管理組合はどのように対応すればよいか、その実践活動例をお話してきました。2時間の講演時間でしたが、内容的には、お伝えするべき点が多々あって、あっと言う間のことでした。また参加者からは管理規約だけでなく具体的な管理上の対応策がよくわかったとのお言葉を多数いただきました。
民泊の流れが着々と進んでいます。まずは管理組合でできることからスタートし、管理組合にあった対応をとっていく、これが今の管理組合に求められている大事なことです。迫る民泊に迫られる対応、待ったなし!です。
管理組合の皆様のご健闘を応援しております。
投稿日:2016年02月23日
昨今、新聞紙上を賑わしている「民泊」問題。海外からの旅行者増大に伴うホテル不足解消に有効と脚光を浴びる反面、マンションで民泊が行われた場合に近隣の居住者と様々なトラブルが生じています。居住空間であるマンションにホテル同様の宿泊目的で大勢の旅行者が押し寄せたら、それも文化やマナー感覚が異なる国の人々であったなら、どんな展開になるか、想像がつくでしょう。現在は一部の「特区」以外では違法ですが、4月からの基準の改正や2017年中には旅行業法の改正などで、合法化されると、民泊のさらなる拡大が想定されます。
このような環境のもと、管理組合はどのように生活環境を防衛していくか。これが目下、管理組合にとって大きな課題になっています。その対策としては規約を完備させること、そして日常管理でいかに早期に検知し対応するかにかかってきます。ではどのような規約にしていけばよいのか、その具体的実例と対応策をセミナーの講師として公開いたします。管理組合関係者の方には必見です。
★2月25日(木)月島区民館(中央区月島2-8-11)で18:30~となります。主催はマンションコミュニテイ研究会です。よろしければ、情報を管理組合での対策にお役立てください。当日は民泊対応規約など実際の対応例を参加の皆様にお渡しする予定です。
コミュニテイ研究会
http://www.mckhug.com/kenkyu/20160225.html
投稿日:2015年11月16日
マンションの管理ルールについて約3年をかけた検討会で検討されてきた「マンション標準管理規約」改正案がまとまり、この改正案に対するパブリックコメントとして意見が募集されています。この改正案についてはコミュニティ条項はじめ第三者管理者方式など様々な意見がありますが、マンション管理について日々、マンション管理組合と接するマンション管理士として意見を表明いたしました。意見の主旨はコミュニテイ条項削除への反対とその一方で指針の中においてコミュニテイ活動を推奨することについてのわかりにくさの指摘で、現行の条項を維持するよう求めるものですが、内容は以下の通りです。
(意見)
規約からコミュニティ条項を削除し、指針で記載(推奨)するのは区分所有者に、わかりにくいためは本条項に関する改正は見送るべきである。(第27条および32条改正部分の削除)。
(理 由)
コミュニティ条項については他にも多数の意見があるかと思います。今回削除した理由が、任意加入の団体との混同を避けるという視点は理解できます。また標準管理規約は管理の雛形であり、雛形に縛られず、当事者がそれぞれにあった規約を作ればよいということは、マンション管理士の立場ではわかります。
しかしながら、管理について十分な知識をお持ちでなく、状況があまり理解できていない区分所有者の方々が、わけもわからないまま突然削除されたコミュニティ条項を見て、管理組合ではコミュニティ活動はしないものと誤解されることは大きな問題です。これについては同時に改定される適正化指針でコミュニティを推奨するのだからよいのだという考え方を持ち出されるかもしれませんが、これこそ縦割りのお役所の論理に過ぎません。規約からは外して、指針で追加する、妥協の産物としてそうされるとなると、管理組合にとっては訳が分からなくなります。複雑になればなるほど、管理組合、区分所有者は理解できず、ついていけなくなります。管理の主体となるべき当事者に、分かりやすい規約が、適正な管理を実現する上での重要なポイントであると考えます。
今回の件、パブリックコメントという広く意見を聞く手続きの中で、私と同様の考えを指摘する意見が多数であるならば、パブリックコメント案にあるコミュニティ条項削除については修正し、規約として残す英断を提案します。そのうえで規約コメントの中において、任意加入団体の会費の強制徴収については望ましいものではないとの喚起を促すという形が最もシンプルで健全な管理組合運営を実現できるものと考えます。
パブリックコメントに関する関係各位の英断を期待します。 以上
投稿日:2015年10月25日
ワンルームマンションを所有するオーナー向けのセミナーで10月24日講演しました。テーマは「総会へ行ってみよう」このセミナーはワンルームマンションの賃貸管理を業とする不動産管理会社が主催したもので、賃貸マンションとは言え、資産価値を維持向上させるためには建物管理が重要であり、その一歩としてオーナーである区分所有者が積極的に総会に出ることを提案しました。総会に出るなんて当たり前のことと思われがちですが、その当たり前のことがなかなかできないのが現実です。ななかな総会に出席しない方が多い中で、総会に出ることで管理会社との緊張関係が生まれてくることを事例を取り上げながら紹介しています。残念ながら一部の管理会社が暴走してしまう事例が発生しています。これも一つには区分所有者の無関心がその要因になっているのですが、そうならないためにも総会へ行くことを提案しています。総会へ行くことでどのような管理がなされているのか、見える様になります。そしてチェックしているんだぞという緊張感が管理会社によい管理をしていただくことになるのです。そして。もしできるならば、管理組合理事会の役員になっていただく、これが私からの提案です。
★ワンルームなど賃貸マンションもファミリータイプマンションも管理に関する基本は同じです。キーワードは管理会社との適度な緊張関係です。
投稿日:2015年10月22日
昨日2015年10月21日、国土交通省より「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(以下「検討会」と略す)について、パブリックコメントが出されました。ここに至るまで4年の歳月を要し、ようやく行きついたという感じです。思い起こせば2013年に第三者管理者方式が目玉で、検討会が始まったはずが、途中2年半もの間、放置されてしまいました。また復活再開の時点から「コミュニティ条項」の削除という「おまけ」までついて、ここまで来たという長い長い道のりを実感しています。
コミュニティ条項問題についてはマンション管理に関わる世界では賛否があります。パブリックコメントによってはまだこの先に何らかの動きはあるのかもしれませんが、流れとしては固まってきているので、それはそれとして受け入れつつも、標準管理規約はあくまでも標準的な雛形であり、それに縛られることはないと私は考えるところです。マンションに暮らす人々のコミュニティはマンションで何をするにしても基本の「き」です。これを抜きにしてマンションの管理は語れないし、それなくして語ったとしても、結局、魂がないままに終わってしまうでしょう。ただ、そこまで信念を持って考えられる方はよいのですが、今まであったものが突然「削除された」この事実だけが一人歩きして、マンションにおけるコミュニティ活動の低下にならないよう、今回の経緯を踏まえ、こうした誤解を生まないよう目を光らせていかなければならないと考える次第です。
第三者管理者方式についても、高齢化による役員なり手不足や役員の負担軽減など外部の第三者に対するニーズは確かにあるものの、管理組合において安易な第三者管理者方式への傾倒が風潮にならないよう、これまた注視していきたいと考えます。自ら第三者管理者方式採用の管理組合で、区分所有者の意図と反する行動をとる管理者こと悪徳管理会社の暴走を目の当たりにしてきたこと、そのような厳しい状況から区分所有者による理事会方式での適正化に修正することの難しさ。適正化するまでにかけた手間ひまと長い道のりを感じないではいられません。ともかく信頼関係が崩壊した後、自分たちの手の中に管理組合を取り戻すことはたいへんなことです。高齢化の問題はあるものの、やはり直接の区分所有者が管理することが正しい道であるということを広めていきたいと考えます。高齢化は避けて通れないとは言え、組合員資格や役員資格を区分所有者だけでなく、家族・親族まで拡大する方法もあります。工夫次第で様々な道が拓けるものと確信しています。
今回のパブリックコメントで、マンション管理士の役割がより重くなったということはその通りだと思います。ますます責任が重くなるとともに、期待が大ききなればなるほど、管理組合のために力を尽くしていくのが私たちの使命であると強く感じ、今日も管理組合に行ってまいります。
★管理規約についてはこれを機に、管理組合でなにが大切なのか。どの様に規約を考えていくべきなのかなど、管理規約の「翻訳家?」「伝道師?」、それぞれ言葉は微妙に異なりますが、管理組合の皆さんとともに勉強していきたいと考えています。標準管理規約、新たなルールについてご不明な点がありましたらご連絡ください。
投稿日:2015年06月28日
「そなえりあ」と言われてすぐに、どこのことかわかる方は防災に相当、関心が高く、取り組んでいる方だとお見受けします。そう、「そなえリア」とは防災を体験的に学習できる施設のことです。
マンション管理士としてマンション防災を研究テーマに取り組んでいますが、防災体験施設「そなエリア」(江東区有明)に行ってきましたので皆さんに報告いたします。既にご存知の方もいらっしゃることと思いますが、ここは内閣府が災害時の緊急対策本部として機能するようにつくられた施設で、災害時には対策本部としての、その存在が有効に発揮されることになっています。また、ここは普段は災害を想定した様々な体験ができる学習施設にもなっています。
「東京直下72時間」という体験ゾーンでは、まずは自分たちが駅ビル10階からエレベータに乗っている時に地震が発生したという想定で、避難経路に従って館外への避難を体験します。屋外に出るとそこには、家屋倒壊、火災発生など悲惨な光景が待っていてます。とても臨場感があります。しかもタブレットを参加者が持ち、それぞれの場所で、チェックポイントをクイズ形式で考えて行動できるようになっているため、あたかも地震発生後の体験ができるように作られています。家具が転倒し押しつぶされる映像や振動体験などもできます。最後に発災時に家族と離れ離れになった親子の不安な心理描写があるアニメでも心が打たれます。そのほか災害時の災害対策本部オペレーションルーム見学や平常時の備蓄や災害後に何をするべきかなど学ぶことができます。子供連れでも楽しみながら体験できるので、一度体験していただくことをお勧めします。
★マンションで防災に取り組みするとき、まずは地震を実際に想定すること。その想定した状況を体験してみること、そして私たちは何をすればよいのかを考えることが大切です。そうすると今の体制や準備で足りないものが必ず見えてきます。そこから防災への準備が始まるのです。
《参考情報》そなエリア東京
所在地 :東京臨海広域防災公園内(最寄駅はゆりかもめ「有明駅」徒歩2分、
りんかい線「国際展示場駅」徒歩4分)
開園時間:午前9時30分~午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
休館日 :月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し翌日が休館)
入場料 :無料
投稿日:2014年10月06日
マンション管理士個人のライフワークとして管理組合支援を行っていますが、管理組合支援団体にも参画して管理組合支援活動を開始しました。一般社団法人マンション管理組合支援センターの設立趣旨は専門家集団による管理組合支援で、エレベータや機械式駐車場メンテナンス、長期修繕計画、大規模修繕工事のエキスパートはじめマンション管理士などマンション管理の専門家チームが管理組合の支援を行います。個人でカバーしきれない専門分野からの管理組合支援をひとりのマンション管理士として推進しています。
詳しくは⇒ kanri-kumiai.jp
★管理組合支援センターの専門家によるセミナーが10月19日(日)に開催されます。第1回のテーマは「安全・安心のコスト削減はこれだ!~エレベータのコストのからくり教えます~」。なかなか見えにくいエレベータメンテナンスのコストの仕組みをエレベータ業界一筋の専門家笹原信一氏が講演します。セミナーの詳細は上記ウェブサイトまたは電話03-5820-2152へ。
投稿日:2014年08月31日
8月30日に開催された港区主催の省エネセミナーに講師の一人として参加しました。このセミナーは管理組合として省エネにいかに取り組みしていくかを分かりやすく解説するものです。昨年に続く2年目の企画で、管理組合での省エネ対策を導入事例を交えながらの内容になっています。管理費の支出の中で最も大きな割合を占めるのは管理会社への管理委託費です。これは当たり前のことですが、2番目に多いのが実は電気代なのです。規模の大小、築年数にかかわらず、電気代が2番目です。それだけインパクトが大きいので、電気代削減が即、省エネに繋がると言っても過言ではありません。また給水システムが受水槽方式でポンプを更新する場合、従来通りの受水槽方式の更新とするだけでも省エネ効果はあります。しかしそこにとどまらず、給水システムを直結増圧方式に切り替えることで更なる省エネ効果が生まれます。こうした導入事例をセミナーでは紹介してきました。設備費用、メンテナンス費用(電気代、保守費用等)のLCC(ライフサイクルコスト)で
考えても明らかな結果になります。
★管理組合で省エネをテーマにする場合、どうしても優先順位が後に先送り傾向になりますが、大規模修繕工事と合わせて考えていったらいかがでしょうか。マンションでは必ず大規模修繕の機会がありますので、その際の意識が重要でしょう。
投稿日:2014年07月14日
マンションの大規模修繕工事を透明性があって競争原理を働かせる場合には設計監理方式が適すると言われています。施工業者と監理者を別の組織が行うことで、仕様通りに工事がなされているか、無駄な工事がないかなど、チェックすることができ、適正な工事になると言われています。しかしここでの前提条件は、設計監理方式を実施するうえで、本当に管理組合目線で業務にあたってもらえる設計事務所を見つけられるか、と言うことが課題になってきます。世の中、設計事務所は多数あるものの、一部の施工会社と“癒着”があったり、管理組合の気が付かない水面下で、コンサルと施工会社が繋がっていることがないとは言い切れないのが残念な実態です。これを回避するためには“公募”という透明性が高い選定手続きを行います。但し、応募してきた設計コンサルが良心的で透明性のあるコンサルであるとは限りません。設計監理価格が安いとか、プレゼンテーションがうまいと言うだけで選んでは、結局、管理組合に反する対応を受けることすらあるのです。ではどのようにして、よいコンサルを選び出すのか、そこで提唱するのが、透明性の高いマンション管理士による、設計コンサル選定のためのコンサル業務です。「コンサル選びのためのコンサル」と言うと笑われる方もいますが、この業界の中では、これぐらい慎重に選考してもしすぎることはありません。この選考を責任もって行うのがこの業務です。ヒアリングでよい先を見抜くためのノウハウほか、管理組合目線でのコンサル選考をサポートします。
★ご連絡いただければ、現状をお聞きしながらご相談に伺います。ご相談は無料ですので、どんなものか、お気軽にお声かけください。また管理組合さま(理事会等)へ出張しての「大規模修繕工事進め方」についての勉強会も可能です。進め方を知ってと知らずして取り組むのでは大きな違いが出てきます。そのようなうまい方法があるのかないのか、今まだ信じられていない方も、そうでない方も一度ご相談ください。
投稿日:2014年07月05日
港区による月1回開催される「マンション管理組合運営相談」に所属する首都圏マンション管理士会都心区支部所属のマンション管理士として参画しています。この相談員制度は従来から弁護士による相談がありましたが、4月からはよりマンション実務に精通したマンション管理士による相談対応というニーズに応えて開始されたものです。同じ支部に所属するマンション管理士が交代で相談員を務めています。この制度の対象は港区のマンション管理組合で、毎月第一火曜日の13時からの1時間の予約制です。申込先は港区役所へ。
★管理組合に関するお悩みについて直接お聞きしながら、一緒に解決を図っていくことを目指しています。相談することで考え方も変わり事態は変わってくるものです。少しでもお役に立てることがあれば光栄です。