投稿日:2018年01月01日
2018年、新年あけましておめでとうございます。
2017年はあっという間の1年であったと感じます。たくさんのできごとがあった中で、マンションにとってインパクトが大きかったことは何と言っても民泊でしょう。昨年は住宅宿泊事業法が公布され、今年の6月15日から施行されることになっています。この法律は海外からの訪日旅行者の受け入れを目的に、マンションでも民泊を認めようとする法律です。これまでも「民泊」の功罪については何回も取り上げてきましたが、居住目的の住宅に宿泊目的で旅行者が訪れることから、少なからず、軋轢がやトラブルが想定されます。もちろん新しい法律では管理をしっかりさせる制度にはなると言われますが、この制度によって本当にマンションに居住する人々の不安を取り除けるかは疑問です。それぞれの国や地域ごとに文化も様々です。こうした国々から来た旅行者に、日本式のゴミ収集をしろと言っても、また静かに滞在しろと言っても、さらには、見知らぬ人々の来訪自体が不安という居住者の懸念を解消することは難しいでしょう。特に家主不在型と言われる、旅行者だけを宿泊させるタイプにおいては、トラブルが予想されます。これに対して、管理組合の自衛手段は規約改正しかありません。規約で民泊を禁止することができるのです。しかし逆を言えば、規約で民泊を禁止しない限りは、民泊を制限することはできないということになるのです。これまで管理規約について、管理組合がどのような規約にするかはその区分所有者に任されており、自分たちで決めればよかったのですが、今回は、外部からのいわば「黒船」にどのように対応するのか、自分たちの責任で対応する必要があるのです。国や行政機関に頼ることはできません。先送りもできません。トラブルを防ぎたいならば、自分たちで守るしかないのです。この規約改正ですが、残念ながら、まだまだ行きわたっていないのが実情です。いくら関心が低いといっても、民泊が始められたあとに、「やっぱりやめよう」と言えなくなる可能性が高いことを、多くの方に知ってもらいたいと強く感じています。
今年の干支は戌です。いつしか私も年男を迎えました。住みよいマンション暮らしが実現できるよう、今年もできるところから一つ一つ進めていきたいと考えています。どうぞ本年よろしくお願いいたします。 平成30年元旦 飯田勝啓
投稿日:2017年12月08日
12月8日の参議院本会議で改正旅館業法が可決され成立しました。旅館業法は一般の生活の中ではなじみの薄い法律ですが、今や違法民泊を排除し、適正化するうえで、欠かせない法律になっています。皆さんご承知の民泊を規定した「住宅宿泊事業法」は来年6月15日に施行されます。しかしこの法律はあくまでも、民泊事業を届出した事業者のみを対象にしたもので、届出しないいわゆる「ヤミ民泊」取り締るためには、別の法律が必要で、これが旅館業法なのです。今回、この旅館業法を改正することが民泊問題適正化のために重要な役割を果たします。というのも現行の旅館業法は違反があったとしても、罰金の上限がわずかに3万円です。これでは現実にそぐわず、抑止効果が無いと言うのが実態でした。70年前の昭和23年に制定された法律ですから無理もありません。こんな状態を回避するために、民泊など旅館業を無許可で営業した場合、罰金を100万円まで引き上げることで、違法民泊の抑止効果は一気に高まります。民泊の合法化とは切り離せない旅館業法ですが、本来であれば住宅宿泊事業法が成立した6月の通常国会で審議され、同時に成立するはずでした。ところが政局の流れに翻弄され、解散があったことなどから延び延びになっていました。それが12月9日に会期末を迎える特別国会でギリギリに成立したのです。
さすがに国も、違法民泊を野放しにはできないと考え、特別国会という限られた会期の中で、審議を進めたのだと思われます。衆議院の厚生労働委員会を傍聴しましたが、この改正に反対はなく、全会派一致で成立しました。住宅宿泊事業法により民泊が合法化されるだけで、無許可営業を取り締る法律が欠けた状態での見切り発車だけは避けられたことに安堵しています。
とは言え、法律が施行前の民泊については未だ不確定要素がたくさんあります。住宅宿泊事業法とその施行規則で埋めきれていない部分を埋めるために、近くガイドラインが公表されることになっています。当初は11月と言われていましたが、その調整が難航し、年内いっぱい時間を要するものとみられています。このガイドラインの中で条例での区域・日数制限や標識の掲示方法など、これまで先送りされた事項がどのように定められるのか、まだまだ目を離せない状況が続きます。
投稿日:2017年08月21日
NPO日住協(日本住宅管理組合協議会)が主催するマンション管理大学で民泊問題の最新情報を講演します。NPO日住協は管理組合団体の先駆的組織ですが、今回の講座は「マンションの第三者利用を考える」と題して、今年6月に法制化され、施行を目前に控えた民泊問題やその他シェアハウス問題など、管理組合として取り組むべき対応について講演の予定です。8月27日(日)13時~ 会場は京橋です。
★この講座はどなたでも受講できる公開講座です。直前まで、受付しているようですので、関心のある方はどうぞ。
マンション管理大学申し込み要綱
投稿日:2017年08月20日
2017年1月27日、国土交通省住宅局市街地建築課長と土地・建設産業局建設市場整備課長の連名で一本の通知が出されました。それが管理組合の利益に反する不適正コンサルの存在への注意喚起です。それまでも噂には幾度となく上がったものの、半ば業界慣習として見過ごされてきた問題です。国土交通省がこのような通知を出したことは、こうした不適正コンサルの暗躍が目に余るほどになったと言っても過言ではないでしょう。それと前後して、この問題がメディアでも取り上げられるようになり、一気に社会の注目を集めるまでの話題になりました。
管理組合として、施工会社や管理会社に丸投げする「責任施工方式」と比べて、第三者が関与し、設計・監理と施工を分離するいわゆる「設計監理方式」は透明性があり、競争原理が効く理想的な大規模修繕工事の手法と言われてきました。しかしながら、これも、監理者が施工業者を厳しくチェックすることが前提でのものです。それが、できないばかりか、施工業者と「談合」「癒着」までの関係があるコンサルが暗躍跋扈するとなると、管理組合への損失は計り知れません。
これまで何十件と設計事務所選定の支援をしてきた中で、得られた不適正コンサルの特徴、それは設計監理価格が比較的安くプレゼンテーションもお上手、頼りがいがありそう。しかも業界内では大手で、信用があるはずときたら、何も知らない管理組合では、そうした先を選んでしまってもおかしくはありません。ともかく巧妙な進めかたに、多くの管理組合が騙されている事実は明らかです。
ではどうすれば、こうした不適正にコンサルに引っ掛からないか、この見分け方について様々な形で管理組合の皆さんにお伝えしてきましたが、今後も地道に続けていくつもりです。管理組合の一理事長として、また一マンション管理士としてこの問題を取り上げていきます。
国土交通省不適正コンサルについての注意喚起
★不適正コンサル問題について、騙されないためにどうすればよいかのセミナー情報をお知らせします。関心がある方はぜひ、ご参加ください。
第19回プロジェクトアシアス研修セミナーご案内
投稿日:2017年01月01日
新年明けましておめでとうございます。
昨年は社会の変化が激しい中で、マンションに関連した“世界”でも大きく変動した1年でした。熊本地震による建物・設備の被災、5年ぶりの標準管理規約改定、外部管理者制度の導入気運、民泊容認に向けた新制度の検討などなど。この流れは今年も続きます。民泊新法が1月に始まる通常国会で審議されようとしています。これまで文字通り「住宅」であったマンションの一室が、ある日からホテル代わりの宿泊施設に認められることになります。一方でマンションの高経年化は一年前より確実に進行します。これまで先送りにしてきた建築、設備改修も「待ったなし」の状態になっていきます。こうしたマンションに関連する環境が一層厳しくなる中で管理組合運営のかじ取りの難しさも増していくでしょう。「難しい、難しい」と、強調し過ぎて役員を引き受ける方が、いなくなってしまっても困るのですが、現実から目を遠ざけることは最早できない状況にあるのです。「今までが大丈夫だったから、まだいいか」では立ち行かなくなるのです。そればかりか、対応を先送りすることで、状況が一層悪化する懸念があります。ならばどうするのか。どうせやらなければならないことならば、覚悟を決めて、『今できることをする』。それしかないのです。
なかなか皆さん、日々の仕事や生活が忙しく、マンションのことをじっくり考える余裕はないかと思いますが、1年の節目の時にマンションの現状を直視し、今できる一歩を踏み出そうではありませんか。こうした管理組合、区分所有者の方を支援する役割が私たちマンション管理士です。「現状の課題解決に取り組んでみよう」と意識を持たれた皆さんのために、少しでもお役にたてる一年になれば幸いです。
皆様のご多幸、ご健勝を心よりお祈り申しあげます。
2017年元旦
投稿日:2016年11月12日
11月11日、国土交通省はマンションでの民泊の扱いを禁止する規管理規約の明示例を発表しました。この通知は国土交通省住宅局長から特区民泊を管轄する地方自治体向けに通知したもの。また今回の規約の民泊禁止例では、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。2 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。」と示されています。この例示ではあくまで特区民泊のみを禁止する形になっており、特区民泊のない東京都内であれば大田区以外は、あまり意味のない形になっています。またこの規約例では旅館業法「簡易宿所」としての民泊は規定していません。従って、読み方によっては、「簡易宿所」としての民泊は認めるように見えてしまいます。このあたりあまり適切な内容とは思えませんが、規約は管理組合で独自に制定するものです。管理組合で民泊を禁止するのであれば、トラブルを避ける点から「特区民泊」も「簡易宿所民泊」も、これから制定される予定の「新法による民泊」も全てを包含して禁止するように明記されることをお奨めします。もちろん、無届けで行うヤミ民泊を認めないことは当然のことです。※国土交通省ホームページより規約例関連ページ:http://www.mlit.go.jp/common/001152061.pdf
★国土交通省の民泊対応規約については、公表の時期は延び延びになり、内容についてもあまり期待していませんでしたが、やっぱり、という率直な感想です。こと民泊問題では行政や人任せではなく自分のマンションは自分たちで守らなければいけないと強く感じます。
投稿日:2016年03月14日
あれだけ待たされた標準管理規約改正が発表されました。今回の標準管理規約改正には様々な問題がありました。その一つ、コミュニティ条項については同時に発表された「マンション管理の適正化に関する指針の改正」で「コミュニテイ形成に積極的に取り組むことが望ましい」としながらも標準管理規約では、コミュニティに関する条項が削除されています。もっともこうなることは想定されてのことでした。昨年10月のパブリックコメント発表時において、私はこの点を問題視し、パブリックコメントでもの申しました。今回の発表の中ではコミュニティ条項削除は「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」で「削除すべきと提言されています。」と掲載されており、いかにも第三者的な書きぶりで直接の回答には不十分とも思えます。今回の過程で若干の修正があったようですが、パブリックコメントで私が指摘したのは、指針と標準管理規約が相反する(少なくとも誤解を受ける)ところに、分かりにくさがあり、ひいてはマンションにおいてのコミュニティ活動に水を差されることが懸念されることでした。現に昨年の新聞報道により、マンションでのコミュニティ活動ができなくなったと誤解されている管理組合の方の声を複数聞いています。斯様に今回はしっくりいかない改正になったと、残念に思うばかりです。でもこうして出てしまった以上は、「マンションにおいてコミュニティ活動がいけないのではない!」と誤解されないよう辻説法することが私の役目なのかと覚悟を決めたところです。
標準管理規約改正関連【国土交通省ホームページ】
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
投稿日:2016年01月01日
新年あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、気持ちが改まったところで、今年の管理組合活動に向けた抱負をお話します。
私が考える2016年のマンションに関するキーワードは二つ。一つは「民泊」の浸透です。昨年の大阪府や東京都大田区での条例制定を機にメディアでも随分と取り上げられるようになって、一気に世の中に知られるようになってきました。この「民泊」は、居住者の視点で見た時に、今の展開は決して望ましいとは言えません。現在の様に無策のままでは管理不全が必ず沸き起こるからです。違法とは言いながらも、現在水面下での「民泊」の浸透はすごい勢いで進んでいます。2020年に向けて国を挙げて海外からの旅行者を増やそうという方針がある中で、民泊問題は避けて通れるものではありません。むしろ違法的な「民泊」が今後、爆発的に拡大する可能性があります。そうなってからでは遅いのです。
もう一つのキーワードは管理規約です。折しも国土交通省による標準管理規約のパブリックコメントが昨秋出されて、いよいよ改定案発表へ秒読みの段階になっています。コミュニティ条項や外部専門家の活用など賛否両面から注目を集めています。発表される改定案がどのような形であったとしても、管理組合としてマンションの実態に合った管理規約を作っていくことが重要です。
一つ目のキーワード「民泊」もこの管理規約で、ルールを明確に定め、日常管理でしっかり縛っていくことによって居住者にとって不都合のない適切な対応が可能になるのです。こうした時代の趨勢の中で、決して諦めたり、投げ出すのではなく、管理組合としてできることを一つ一つ創り上げていきましょう。マンションのよりよい管理を実現すれば、快適で住みやすいマンションになります。そうなれば自ずとマンションの資産価値も上がっていきます。私たちに求められるのはこうした地道な活動の積み重ねであると思います。
新年はこうした視点で、マンション管理士として管理組合に適切なアドバイスができるよう努めてまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたしま 2016年 元旦
投稿日:2015年07月01日
マンション管理士制度は発足14年目を迎えました。これまで各都道府県内には複数の管理士会が存立していた現状を改善するため、都道府県単位で一つのマンション管理士会に統合する日本マンション管理士会連合会(略称:日管連)による組織再編が行われました。これに伴い、これまで所属していた一般社団法人首都圏マンション管理士会が5月をもって発展的に解散となり、新たに設立された一般社団法人東京都マンション管理士会に所属することになりました。今後は一般社団法人東京都マンション管理士会が日管連に帰属する東京都における唯一のマンション管理士団体となります。
私自身マンション管理士として行う活動は、管理組合目線でのコンサルティング業務と行政への支援という二本の活動にこれからも変わりありません。今後もこれらの目標に向けた活動を続けてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
旧所属組織:一般社団法人 首都圏マンション管理士会
新所属組織:一般社団法人 東京都マンション管理士会
名刺等で旧組織名称をお渡ししている皆様におかれましては、お手数ですが名称の登録変更いただけると幸いです。私個人の連絡先については変更ございません。
投稿日:2015年01月01日
新年あけましておめでとうございます。
新しい年を迎えましたこの日にあたり、一年間の抱負をひとこと。マンションの高経年化は毎年確実に進んでいます。こうした中で課題のないマンションはないと言ってもいいくらい、何らかの課題をかかえていることと思います。もちろん、理事会で解決できるのであればそれが一番よいのですが、解決が難しかったりして出すべき結論が先送りされる事例が多々あるのが実情です。こうした課題を放置することは、許されません。こうした悩み多きマンションこそ、救いの手が必要であり、私たち専門家が知恵と工夫で効率よく進めてことも可能になります。新しい年の目標として、今年はマンションを通じてもっともっと社会にお役にたてるよう努力していきたいと考えています。
昨年の暮れも押し迫った12月24日には改正マンション建替え円滑化法が施工されました。これにより「敷地一括売却制度」が開始され高経年マンションにとって、建替えに加えもう一つ選択肢が拡がりました。選択肢が広がったとはいえ、その合意形成には長い時間と粘り強い行動が必要です。こうした新しい制度も含め、マンション管理士として社会貢献を図ってまいりたいと存じます。
皆さまにとって2015年が良い年になることをお祈りいたします。 元旦 飯田勝啓