「第三者管理者方式」について講演
千代田区の外郭団体、公益財団法人まちみらい千代田の令和6年度第1回管理講座(10月16日)で、第三者管理者方式についての講演を行いました。「今脚光を浴びる第三者管理者方式を考える~役員なり手不足解消の切り札になるのか~」と題したこの課題は、近年管理組合や関係者から注目を集めているテーマです。区分所有者の高齢化に伴い、役員のなり手不足はどこの管理組合でも共通する悩みです。でも楽になるからと言って安易に理事会をなくしてしまうことで、管理組合と区分所有者に様々な影響が出てくることはご存じでしょうか。管理規約に第三者管理者の名称(固有名詞)を入れてあるため、信頼関係が崩壊した後も解任できなかった事例、標準管理規約からかけ離れた第三者管理者に有利な規約条文の実例。さらには第三者管理者によるお手盛り管理の実態など、実例に基づき生々しくお話しました。また本年6月に改定された国土交通省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」の実効性やこの問題に直面する管理組合としての対応などについてもお話しさせていただきました。
従来、第三者管理者方式はリゾート型や投資型マンションなど一部に限定されていましたが、現在はファミリー型のマンションでも新築、既存どちらにも急拡大しています。第三者管理者方式はいわゆる管理不全マンションにおいては、有効な対応ですが、そうでない管理組合においては弊害の方が多いと考えられます。かつて私は第三者管理者方式で暴走する管理者に対し、区分所有者を巻き込みながら管理者解任のための闘いをしてきた経験があります。この理事会方式に戻す過程では時間と労力が不可欠であり、そのハードルの高さを誰よりも知る立場にある者として、現在の潮流になりつつある第三者管理者方式についてはこれからも警鐘を鳴らすとともに、その問題点と管理組合における対応策について発信していくつもりです。