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マンションADRを考える

投稿日:2022年12月20日

ADR (Alternative Dispute Resolution)とは文字通り、紛争を裁判外の話し合い(調停や仲裁など)により解決する手法のことです。まだ日本では事例が少なく、聞きなれない言葉だと思いますが、マンションの諸問題の解決のためにマンション管理士がADRで解決する役割を担っています。法務省からマンションに関するADRの認証を受けて5年を迎えるにあたり、今回、更新の研修に参加しました。

元々アメリカで生まれたこの解決手法は、日本ではまだなじみが薄いですが、複数の人が集まって住むマンションにおいては、近隣間の騒音問題、敷地内植栽の伐採の賛否など管理の問題、ペット飼育など管理規約や使用細則に関わる問題、管理組合運営に関する区分所有者とのトラブル、管理会社との契約や履行問題など様々な場面での活用が考えられます。

ADRが裁判と異なるのは、白黒はっきりさせるのではなく、双方の主体的な話し合いがベースにあることです。当事者が主体的に話し合うことにより、対立する問題を紐解き、解決のためにできることを調停人(マンション管理士)がサポートしていくところに特徴があります。マンションの居住者の間の問題では、裁判のように勝ち負けを目指して行っても、後にしこりが残ってしまっては双方が住みづらくなってしまいます。その点、話し合いで解決できるならば、そのような事態にはならずに円満に解決できるというものです。

対立する問題を、双方の納得いく解決にもっていくのは容易ではありません。しかしながら課題となるイシュー(Issue)について、対立する双方の立場(Position)で主張や要求を取り上げ、話し合いの中でその奥にある双方の本音(Needs)を探ること、こうした過程を深めることで円満に解決に導くことができるのです。研修ではマンションで想定される事例を実際にかみくだきながら、この手法を徹底的に学びます。双方の主張を中立・公正な立場で聞くことは言うまでもありません。このような傾聴やコミュニケーションスキルをたたき込まれてADRの「調停人」が生まれます。

マンションで生活するうえでは、対立する問題やトラブルに巻き込まれないことが一番ですが、こればかりはいつ、そのような事態が起こるかはわかりません。そのようなときには気に病んで、迷っているばかりではなく、マンションADRに相談することも選択肢の一つとしてありだと思います。ひとりのADRの資格者として、必要な方々のためにお役に立てればと考えます。

 

マンション紛争解決センター

https://www.nikkanren.org/service/mansion-adr.html


バナースペース

マンション管理研究会

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