中央区分譲マンション交流会で防災対策の講演
10月22日中央区の分譲マンション交流会で講演を行いました。今回のテーマは「水害・地震・停電に備え、マンションでするべき防災対策~今からでも遅くない!管理組合にできる現実的対応とは~」です。前月にも類似の講演を千代田区で行いましたが、同様のテーマが求められるということは、マンションの関係者の中でも気候変動による水害への関心が高まっていることがわかります。気象庁のデータによると1時間あたり80㎜以上の豪雨の発生頻度が1980年ころの2倍になっていること、加えて国土交通省のデータでは気温が2度上昇すると、降雨量が1.1倍、流量が1.2倍、洪水の発生頻度が2倍。これが気温4度上昇で洪水発生頻度が4倍になるという衝撃的な発表があるなど、無関心ではいられない事態を肌で感じます。
こうした中でマンションでの水害への実際の取り組みは決して高いとは言えません。それまでの防災活動が地震中心であったこと、マンションでの水害のリスクが注目され出したのは2019年ころと、まだ日が浅いこと。2019年といえば、武蔵小杉(川崎市)のタワーマンションで浸水被害があった年で、最新設備のタワーマンションで長期間、不便な生活が続いたことは記憶に新しいことでしょう。
マンションでできる現実的な対応として6点を挙げ、それぞれの進め方をお話ししました。
(1)ハザードマップで水害リスクの確認
(2)マンション固有の管理体制と弱点の把握
(3)浸水から守る範囲(水防ライン)の検討
(4)浸水防止の現実的対応(費用対効果など)
(5)災害想定時の止水板運用の検討
(6)マンション独自のタイムライン検討
まずは、こうした基本を押さえながら、現実的にできることを一歩一歩進めていくことが重要です。またあれもこれもと欲張っていると実現できることも実現できないということになってしまいます。災害時の影響の大きさと費用対効果を踏まえながら、優先順位をつけて進めていくことを忘れないでください。
講座への参加者からはわかりやすかったと好評をいただきましたが、マンションでの水害対策は緒についたばかりで、もっともっと多くのマンション関係者の方々に知っていただきたいと思います。管理組合での個別の講演など、ご関心がある場合はお問い合わせください。