地震発生から1カ月「山形・新潟沖地震」のマンションへの影響
6月18日に発生したマグニチュード6.7の地震は新潟県北部、山形県南西部の県境地域で大きな被害をもたらした。この地震におけるマンションの被害を確認するため、6月10日に現地を訪ねた。元々、木造住宅が多い土地がら、瓦屋根の戸建住宅の瓦の崩壊、崩落などが報道されたが、結論から言うと鉄筋コンクリート造のマンションでの被害はほとんどなかった。これは今回の揺れが横揺れで短く、余震も少なかったこと。また震源が両県の沖合ということで直下型ではなかったことにも関係があるようだ。
いくつかの管理組合を訪ねて発災当時の状況を聞き取りした。震度6弱を記録し山形県鶴岡市。市内のマンションでは、一瞬は地震の揺れで専有部分内の食器が壊れたなどの被害はあったと証言する9階の居住者はいたものの、建物は旧耐震基準の建物も含め、外観からの被害は見当たらない。市の住宅課でもマンションの被害はないという。一方、気象庁の発表で震度6強とされた新潟県村上市には同市のほぼ中央部分にある瀬波温泉のリゾートマンションを訪ねたが、こちらも被害はなかった。今回の被害は新潟、山形に県境付近で被害が集中している。ただ両市とも広域合併された現在、発表された震度はこれら県境の一部の地域に限定されていることがわかる。
瀬波温泉のマンションでは、発災後、理事会が中心になって災害対策本部的な動きをしたという。地震時管制運転が機能し、エレベータは一時的に停止したものの、幸いエレベータ閉じ込めもなく、深夜には復旧したという。市内の病院ではエレベータ閉じ込めが発生したという。温泉浴場に行くためにエレベータに乗る人がいてもおかしくない時間帯だった。
今回は被害がなくてよかったが、それはあくまで今回ラッキーだっただけのこと。もし震源地が直下型であったり、余震が続いたりと、自然の動きは予測できない。
地震発生から1か月。もはやこの地震のことを覚えている人の方が少ないのではないだろうか。日ごとに地震の実感が遠のく、今日この頃、災害は月日が経って忘れてお終いではなく、いつでも対応できるように意識しなければならないことを改めて感じる。