標準管理規約に関するパブリックコメント募集開始にあたって
昨日2015年10月21日、国土交通省より「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(以下「検討会」と略す)について、パブリックコメントが出されました。ここに至るまで4年の歳月を要し、ようやく行きついたという感じです。思い起こせば2013年に第三者管理者方式が目玉で、検討会が始まったはずが、途中2年半もの間、放置されてしまいました。また復活再開の時点から「コミュニティ条項」の削除という「おまけ」までついて、ここまで来たという長い長い道のりを実感しています。
コミュニティ条項問題についてはマンション管理に関わる世界では賛否があります。パブリックコメントによってはまだこの先に何らかの動きはあるのかもしれませんが、流れとしては固まってきているので、それはそれとして受け入れつつも、標準管理規約はあくまでも標準的な雛形であり、それに縛られることはないと私は考えるところです。マンションに暮らす人々のコミュニティはマンションで何をするにしても基本の「き」です。これを抜きにしてマンションの管理は語れないし、それなくして語ったとしても、結局、魂がないままに終わってしまうでしょう。ただ、そこまで信念を持って考えられる方はよいのですが、今まであったものが突然「削除された」この事実だけが一人歩きして、マンションにおけるコミュニティ活動の低下にならないよう、今回の経緯を踏まえ、こうした誤解を生まないよう目を光らせていかなければならないと考える次第です。
第三者管理者方式についても、高齢化による役員なり手不足や役員の負担軽減など外部の第三者に対するニーズは確かにあるものの、管理組合において安易な第三者管理者方式への傾倒が風潮にならないよう、これまた注視していきたいと考えます。自ら第三者管理者方式採用の管理組合で、区分所有者の意図と反する行動をとる管理者こと悪徳管理会社の暴走を目の当たりにしてきたこと、そのような厳しい状況から区分所有者による理事会方式での適正化に修正することの難しさ。適正化するまでにかけた手間ひまと長い道のりを感じないではいられません。ともかく信頼関係が崩壊した後、自分たちの手の中に管理組合を取り戻すことはたいへんなことです。高齢化の問題はあるものの、やはり直接の区分所有者が管理することが正しい道であるということを広めていきたいと考えます。高齢化は避けて通れないとは言え、組合員資格や役員資格を区分所有者だけでなく、家族・親族まで拡大する方法もあります。工夫次第で様々な道が拓けるものと確信しています。
今回のパブリックコメントで、マンション管理士の役割がより重くなったということはその通りだと思います。ますます責任が重くなるとともに、期待が大ききなればなるほど、管理組合のために力を尽くしていくのが私たちの使命であると強く感じ、今日も管理組合に行ってまいります。
★管理規約についてはこれを機に、管理組合でなにが大切なのか。どの様に規約を考えていくべきなのかなど、管理規約の「翻訳家?」「伝道師?」、それぞれ言葉は微妙に異なりますが、管理組合の皆さんとともに勉強していきたいと考えています。標準管理規約、新たなルールについてご不明な点がありましたらご連絡ください。