軍艦島と日本最古のRC造マンション
長崎県長崎半島の沖合に浮かぶ通称「軍艦島」はかつて石炭採掘のために造られた人工島です。わずか6.3haしかない小さな島に最盛期には5千人を超える人々が住む人口密度世界一とも言われた島です。ここには日本で最古の鉄筋コンクリート造のマンションが今も残っています。この島を去る11月16日に訪れました。私にとっては40年ぶりの上陸です。というのも昭和49年3月、当時高校に入学する前に一人旅の目的地としてこの島に渡りました。その年に端島炭鉱が閉山になり、無人島になる前、最後の機会に渡航したものです。当時すでに多くの人々が島を去り、廃墟に近い島となっていました。それから40年、再びこの島を訪れたのは、もう一度最古のマンションをこの目で見てみたいと思ったからです。ちょうどマンション管理士会の研修が長崎であり、絶好の機会を得ることができました。この島で、1916年(大正5年)に鉄筋コンクリートのマンションが立てられてからちょうど100年を経た今、海の真ん中、潮風に吹きつかれながら荒れ果てたとはいえ、しっかり存在していました。頑丈な鉄筋コンクリートは、1世紀を越えても残ると言うことがこれでよくわかりました。もちろんマンションに長く住み続けていくにはしっかりした管理が不可欠ですが、管理さえしていけば建物は存続できるのです。鉄筋コンクリートの堅固さとともに管理の大切さを感じさせられました。軍艦島は「九州・山口の近代化産業遺産群」として世界遺産の暫定リストに登録され、これからも歴史を人々に伝えてくれることになっています。
★40年前、当時の高校生には、まさか今自分がマンション管理士としてマンションに関連した仕事につこうとは想像すらできず、こうして再び軍艦島を訪れたことに、何か運命的な繋がりを感じないではいられませんでした。