遅延損害金の免除はできるのでしょうか。
- ファイルNo.
- 021
- マンション形態
- 分譲マンション(ファミリータイプ)
- 戸数
- 210
- 築年数
- 27
- 地域
- 東京都内
- 管理方式
- 理事会方式
- 相談内容
管理費、修繕積立金の滞納が約50万円あります。登記上はお嬢さんが所有ですが、以前はお父様が代わりに支払いしていました。その後、数年前から支払いが滞るようになり、2年前には訴訟となり、支払いを命じる判決を得ることになった後も支払いがされず、現在では50万円以上になっています。そんな中で、給水設備の大規模修繕工事で専有部分の工事をすることになったのですが、当初は工事に協力しないと言っていたお父様ですが、役員の働きかけで工事に協力することになり、滞納金額も全額支払うことになりました。その際、役員から工事への協力のお礼として遅延損害金は免除する旨、口頭で約束したのですが、これでよかったでしょうか。
- 回答
遅延損害金は標準管理規約では、管理費等の徴収(60条)として「~年利〇%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる」とされています。この条項は遅延損害金は規約で定めた利率で請求できるというものであり、請求するしないは、管理組合で決められるものとされています。
では、相談事例の様に口頭で免除を約束できるかと言うと、そう簡単ではありません。免除の決定は交渉にあたった役員(これが理事長であったとしても)が独断で決めることは不可です。理事会として免除するかしないかをまず諮ります。過去の滞納者から遅延損害金を徴収しているのであれば、公平性の観点からも、また訴訟で元本および遅延損害金支払いを命じられているのであればそれも、さらには今後発生する滞納者への対応をどうするのかなど様々な観点から検討する必要があり、免除は真に合理的な理由がある場合に限定する必要があります。そのうえで、遅延損害金は組合の財産ですので免除には総会での承認が必要となります。
因みに管理費等の支払いは義務であることはもちろんのこと、総会で承認された大規模修繕工事に協力することは組合員としての義務でもあります。それゆえ、「工事協力へのお礼」と言う考え方は持たないのが通例です。
- 補足とコメント
★「遅延損害金」とは言え、その場の感情や思いつきで軽々に決められるものではないと言うことになります。状況に応じて十分な協議が必要と言うことですね。