コロナ禍に対応したマンション標準管理規約改正
4年ぶりに標準管理規約が改正されました。標準管理規約は国土交通省が推奨する規約のひな型ですが、適正なマンションの管理と管理組合運営のために必要な事項が盛り込まれているので管理組合運営のうえで参考になります。
今回の改正のポイントは大きく3つあります。
①新型コロナウィルスなど感染症拡大への対応(ITを活用した総会・理事会運営などを含む)
②専有部分と構造上一体化した部分の管理への対応
③その他社会や法律などの変化への対応
①コロナ禍における適正な対応とは、感染拡大防止を最優先に考え、集会室など共用部分の使用を一時的に停止・制限することが明文化されました。また総会の開催を会計年度開始後2か月以内に総会を招集できないような止むを得ない場合は、状況が解消するまで延期が容認されます。そのうえで会場に集まらず、WEB会議方式で理事会や総会ができることを明文化し、“密”を気にしないでも理事会や総会が開催できるようになっています。ここでいう「WEB会議」とは即時性、双方向性のある映像と音声による会議として、従来のメールなどを中心とした「電磁的方法」とは区別して定義されました。議決の条件も会議場に集まって行う会議と同等であると示されましたが、これは従来にない画期的なことです。このほかコロナ禍で荷物を対面せずに受け取れることから注目を浴びた、いわゆる「置き配」のルール化などについても新たにも示されました。
②専有部分と構造上一体化した部分とは、具体的には給排水管があります。従来から管理組合で更新する場合、専有部分の配管は区分所有者が実費に応じて負担するものとされていましたが、今回の改正では、予め規約の改定や既存工事済みの住戸との公平性などの条件を満たせば管理組合が修繕積立金を使用して実施できることが示されました。
③その他社会の変化に対応した改正では、理事長など理事の役職の「解任」を理事会決議でできることが明文化されました。従来の規約では「選任」までしか規定がなく、争いになることがありましたが、これが明確化されました。また議事録に関しては署名押印が必要であったものから「押印」が削除されたことは、はんこ廃止の時流にかなったものと言えます。(押印廃止は令和3年9月1日以降の適用となります。)またマンション管理適正化法の改正で制度化された「管理計画の認定制度」の申請について総会議決事項であることなどが追加されました。
★前回の標準管理規約改正の際は、「コミュニティ条項の削除」など広く物議をかもしましたが、今回はそうした点はなく、理解しやすい内容になっています。特にコロナ禍での感染拡大防止のために、できることから管理組合で見直しされてはいかがでしょうか。
《参考》国土交通省WEBサイトより
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html