マンションでの孤独死に対応する保険登場
高齢化社会の進行と高齢単身世帯の増加とともに、マンションでも高齢者の孤立や孤独死が社会問題になっていることは、ご存知のとおりです。
孤独死が発生した場合、専有部分内の特殊清掃などの対応は通常、相続人が行うため、管理組合がこの問題に直接関わることは少ないと言えます。しかしながら、相続人がすぐに見つからない場合や相続人が相続放棄した場合には、「相続財産管理人」の選任を裁判所に申し立てするなどの手続きが必要です。それは持ち主がいない財物を管理組合は勝手には処分できないからです。孤独死が発生した場合、こうした手間がかかるとともに、それ相当の費用を要します。加えてこのような事案の場合、室内がゴミ屋敷状態ということもあります。それらの額は数十万円から百万円台超の高額になることもあり得るのです。
東京都内のマンションで相続放棄があるとは信じられないかもしれません。また物件は売却すれば、買い手はつくので、そのような心配は無用と思われかもしれませんが、現実はそう甘くはありません。長く親族との関りを持たず、孤独な高齢者の場合、関りを持ちたくないと、相続放棄になることすらあるのです。また特殊清掃やゴミ屋敷状態の解消などのために費用がかかり、相続人が現れない限り、その費用は管理組合が立替えして、負担せざるを得ないのです。しかしながら、管理組合ではこのような費用を想定することはなく、突然に孤独死事故が起きたときに、どう対応しようかと右往左往するのが常です。
こうした中で、東京海上日動火災保険から「マンション管理組合事故対応費用保険」が7月19日に発売されました。この保険では、①相続人の探索費用、②相続財産管理人選任申し立てに関する費用、③孤独死等が発生した室内の消臭消毒費用のうち管理組合が負担を余儀なくされる部分となっています。
管理会社などが保険契約者になるということで、管理組合が直接契約するものではないようですが、単身高齢者が増加するこれからの高齢化社会に備えた対応の一つとして、今後注目されるのではないかと思われます。管理組合でも、この問題を避けて通れなくなってきたことは間違いありません。