マンション管理計画認定制度に関する「事務ガイドライン」公表(2021年11月30日)
2022年(令和4年)4月に施行されるマンション管理計画認定制度の事務手続きを表した「事務ガイドライン」が国土交通省から11月30日に公表されました。「管理計画認定制度」自体は既に公表されている内容と変わりはありませんが、管理組合にとって気になる点があるので情報を共有したいと思います。
「管理計画認定制度」として認定される基準は次のとおりとなっています。
(1)管理組合運営
①管理者等が定められていること
②監事が選任されていること
③集会が年1回以上開催されていること
(2)管理規約
①管理規約が作成されていること
②災害等の緊急時に管理上必要な時の専有部分立ち入りや修繕等の履歴情報の管理等について定められていること
③財務・管理に関する情報の書面交付について定められていること
(3)管理組合の経理
①管理費と修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること
②修繕積立金会計から他会計に充当されていないこと(注釈:一般管理費が赤字の場合など)
③年度終了時点での滞納額(修繕積立金の3ヵ月以上)が全体の1割以内であること
(4)長期修繕計画の作成と見直し
①長期修繕計画がガイドラインに準拠して作成され集会で決議されていること
②長期修繕計画の見直しが7年以内に行われていること
③長期修繕計画の計画期間が30年以上でかつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上計画されていること
④長期修繕計画で将来の一時金徴収を予定しないこと
⑤長期修繕計画から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
⑥長期修繕計画の最終年度に借入金がない計画になっていること(注釈:収支が合致していること)
(5)その他
①組合員名簿と居住者名簿を備え、年1回以上更新を確認すること
②マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること
しっかり管理されている組合では、さほど問題にならないかもしれませんが、これら「認定基準」の中で気になる点が2つあります。
1点目は(2)-②管理規約で災害時の専有部分への立ち入りや修繕等の履歴が規約に定められているか。
2点目は(5)-①居住者名簿を作成し、毎年更新できているか、となります。
1点目は現在の標準管理規約に準拠(23条「必要箇所への立ち入り」、64条「帳票類等の作成、保管」)していればクリアできますが、古い標準管理規約に準拠している場合には注意が必要です。2点目の「居住者名簿」はどうでしょうか。「組合員名簿」は大半の組合で完備されているはずですが、「居住者名簿」を完備させている組合はどの程度あるものでしょうか。標準管理規約では第三者に貸与する場合には「誓約書」を提出するように規定(19条)されるものの、「居住者名簿」の提出を明文化し、かつ毎年更新できている組合は少ないのではないでしょうか。
これらに対応するため、規約の改定には総会決議が必要となりますし、「居住者名簿」は個人情報にも絡む問題などから組合員や居住者への周知や合意形成が不可欠であり、4月になってからすぐに対応できるものではありません。前もって準備しておく必要があるでしょう。まだできていない管理組合は今からでも対応に着手することをお奨めします。
マンション管理計画認定に関する事務ガイドラインはこちら➡ 001443499.pdf (mlit.go.jp)