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緊迫する「緊急事態宣言」下での管理組合対応

投稿日:2020年04月13日

4月7日に緊急事態宣言が発出されて1週間が経過する。その後、10日には東京都から「新型コロナウィルス感染拡大防止のための緊急事態措置等」(以下「緊急事態措置」と略す)が発出された。理美容や居酒屋、ホームセンターなどの扱いが注目されたが、管理組合に関する重大な情報が「緊急事態措置」に含まれているので紹介する。

まず、マンションは「共同住宅」として病院やスーパーのように「社会生活を維持するうえで必要な施設」と位置付けられ、緊急事態宣言の期間中も継続することになった。これを受け、多くの管理会社において交通機関が止まらない現状では、管理員や清掃員のゴミ出しなど最低限の業務は継続されるようになっている。

そのうえで、5月は多くの管理組合が総会を開催する時期となることから、4月は決算理事会を迎える理事会も多い。ここでの悩みは、総会を開催するか、延期するかという点である。緊急事態宣言が予定通り5月6日に解除されるとしたならば、それ以降の5月の総会は開催可能となるが、宣言が解除されずに延長になったらどうなるのだろうか。これは誰にも分らないことである。

こうした状況の中での考え方を整理するために、総会を開催しない場合にどのような影響があるのかを考えよう。

①予算執行の観点

②管理委託契約更新の観点

③現役員の役職継続の観点

まず①の予算執行については標準管理規約では「会計年度開始後、承認されるまでの間に『経常的で、止むを得ない』場合は理事会の承認で支出できる。」とされているので、予算外の工事などを除き日常の支出に関しては特段問題ない。

②管理委託契約更新は以前もこのコラムでお伝えした通り、組合員の「安全・安心のための止むを得ない」対応であることから理事会決議により、現在の契約と同一条件で「暫定契約」することで、管理の隙間を回避することができる。

③総会が開催できず、新役員が総会で選任されない場合は、現在の役員がそのまま役職を継続することになる。この辺りは一度延期した場合に、次にいつ総会が開催できるか不透明な中で、いつまでも引継ぎができないことになるなど延期の判断が難しいところである。

総会の延期を判断するにしても、予定通り開催するにしても、問題は緊急事態宣言下での理事会の開催である。理事会は理事会でも、年度末の「決算理事会」を開催しないで通常総会を開催することはあり得ない。そこで問題になるのが「緊急事態宣言」の中で、どのように理事会を開催するかである。東京都の「緊急事態措置」では上述の通り、共同住宅は「社会生活を維持するうえで必要な施設」とされているが、「適切な感染防止対策」することが明記され、具体的な防止策として「密集する会議の中止(対面による会議を避け、電話会議やビデオ会議を利用)」と求められている。ここまで明文化された中での、対面による理事会には、抵抗がある役員や組合員も出てくるだろう。

メールによる理事会を考えられる組合もあるだろうが、標準管理規約では認められていない。緊急事態だからという言い訳はあるものの、メールではどうしても一方通行となりがちで、理事が意見をもって協議することが難しくなる。ましてや年度末の決算理事会だから慎重に臨みたい。

そこで緊急事態宣言下において提案したいのは、ビデオ通話による理事会の開催だ。ビデオ通話であれば、タイムリーに意見を出し合い、対面と変わりなく審議できることは明らかだ。現在、ビデオ通話会議システムはテレワークの拡大とともに様々な方式があるが、無償で使えるシステムでは、LINE、Skype、ZOOMなどがある。これらを使うなど工夫して対面によらずに理事会を試行することを推奨したい。規約でビデオ通話での理事会を想定した管理組合はほとんどないと思われるが、まさに緊急事態において、役員や組合員の安全・安心のための対応であることに反対はないだろう。

ビデオ通話による会議を実施するうえでの条件は参加者がスマホか、パソコンか、タブレットを所有しWiFi環境にあることが必須である。これについては既にスマホの普及率が50代以下で9割、60代で7割、70代でも5割(総務省情報通信白書平成30年)と言った現状を考えると、実現できないことではないだろう。むしろ、今までやったことがないので、しり込みする役員もいることから、操作方法など積極的に支援することも重要となる。

いつまで続くか先行きが不透明な環境において、理事会をいつでも対面によらずに開催できる体制を準備しておくことは有効であると考える。


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